あなたが水素水に興味を持ったなら、遅かれ早かれ、きっと目にする名前があります。水素水研究の第一人者として有名な太田成男氏です。水素水と太田成男氏の関係を知ることは、水素水の歴史、そして最新の水素研究について知ることにもなります。
今回は、戦う水素研究者太田成男氏について詳しくお伝えします。また、水素水を取り囲む近年のリアルな状況と、水素水への賛否両論に隠された大人の事情も解説します。
水素水といえば・・・太田成男氏って何者なの?
1951年福島生まれ。以下に略歴と活動などをまとめました。
1974年 東京大学卒業 79年同大学院薬学系研究科博士課程修了
1979年 群馬大学医学部文部教官
1981年 スイス連邦バーゼル大学バイオセンター研究員
1985年 自治医科大学講師 91年准教授
1994年 日本医科大学 老人病研究所 教授
2003年 日本医科大学 医学研究科細胞生物学分野 大学院教授
2015年 日本医科大学 先端医学研究所 教授
2017年 日本医科大学 定年退職
日本ミトコンドリア学会 理事。ミトコンドリア病患者家族の会では顧問も務めています。
日本分子状水素医学生物学会 理事長。医療、農業など視野の広い水素研究をしています。
日本Cell Death学会 理事長、評議員。細胞死(アポトーシス)制御の研究をしています。
日本RNA学会 監事、評議員。リボ核酸(RNA)の研究をしています。
太田成男氏の水素水研究
ミトコンドリア研究の第一人者
太田成男氏による水素水の研究は、長年取り組んでいるミトコンドリア病の研究がベースになっています。研究を始めた1985年頃には、ごくごく希少な疾患としてしか認知されていなかったミトコンドリア病は、2009年にやっと難病認定されました。
その後、推定1000人前後というあまりにも少なすぎた日本のミトコンドリア病患者数は、研究と病名の知名度が上がるにつれて増加しています。これは、当時多くの患者さんが正しい診断をされず、原因不明として片付けられたということでしょう。
ミトコンドリアは、人間が生きるために不可欠なエネルギー(ATP)を産生してくれています。わたし達の細胞の一部であると同時に、個別の遺伝子も持っているという少しややこしい存在ではありますが、そのはたらきは細胞の小器官として捉えることができます。
ミトコンドリア病は、ミトコンドリア機能が低下した部位にさまざまな障害が出る病気です。筋肉なら運動能力、心臓なら動脈、脳なら神経細胞に障害が出ます。
太田成男氏は、ミトコンドリア機能の低下は、ミトコンドリア自身の遺伝子がタウリン欠損によって変異することだと突き止めました。
水素水研究で「Nature Medicine」に論文を発表
ミトコンドリアには、ATPを産生してくれる反面、大量の活性酵素を発生させるという特徴があります。体内の活性酸素9割がミトコンドリアから生まれているのです。活性酵素は、善玉活性酵素(スーパーオキシド・ラジカル)と悪玉活性酵素(ヒドロラジカル)に分類されます。もちろん問題は悪玉の方です。
ヒドロキシルラジカルは酸化力が強く、ミトコンドリア自身をも損傷させます。酸化損傷したミトコンドリアは、また新たなヒドロキシルラジカルを生み出します。この悪循環の結果が、老化現象やミトコンドリア病、そしてさまざまな疾患です。
具体的には、糖尿病や動脈硬化、アルツハイマー病やパーキンソン病なども、ヒドロラジカルが大きな原因のひとつだと考えられています。
2007年5月。太田成男教授の論文が、アメリカの科学雑誌「Nature Medicine」に掲載されて世界的に高く評価されました。その論文とは、水素ガスを溶け込ませた水素水は、活性酵素のヒドロラジカルだけを狙い撃ちして除去できるというものです。
これをきっかけに、ミトコンドリア研究の第一人者だった太田成男氏は、水素水研究の第一人者としても、広く世に知られるようになりました。
水素水を取り囲むリアルな状況
世間の水に対する感覚の変化
世間の水に対する感覚の変化とマスコミには、昔からズレがあります。お金を出して「特別な水」を買うのは、よほど持病に困っている人や、健康マニアが飲むものだというイメージがいまだにありますが、昔ペットボトルのミネラルウォーターが出てきた頃も、同じような風潮がありました。
そもそも、外で水道水を飲む機会は間違いなく減っているのが事実です。PTAや町内会の会合、企業研修でも、出てくるのは湯のみにお茶ではなく、ペットボトルの水の場合が多いはずです。「安全な水がいつでもタダで飲める」という日本の水に対する感覚は、すでに少数派といえるでしょう。
スポーツクラブや病院には大抵ウォーターサーバーが設置されています。子どもが生まれたり新居を構えたり、新生活をきっかけに、飲み水をサーバーや宅配水に切り替える家庭は珍しくありません。大型スーパーで買い物する度に、無料サーバーから大量に水を汲んで帰る主婦もよく目にします。
これだけさまざまな種類の水が売られている中で、水素水がブームとして終わらないのは、単純にそれだけ継続して飲んでいる人が多いということなのです。
水素と医療の現場
現時点、医療現場において水素はどのように利用されているのでしょうか?もちろん、「医療用水素を医療従事者が扱う」という前提です。
まず水素水の飲用、点滴、注射は、パーキンソン病や糖尿病などの慢性病患者に用いられます。また、抗がん剤や放射能治療の副作用を軽減するために行われることもあります。
水素ガスの吸入は、心肺停止や脳梗塞への厚生労働省の先進医療Bとして、2016年に承認されました。また、全身麻酔薬の小児に対する副作用の軽減も期待されていますが、こちらはまだ動物実験の段階です。
太田成男氏は戦っている
太田成男氏が戦っているのは、実はマスコミではありません。真の敵は水素業界の一部にはびこる悪徳業者です。そして、隠れた敵は、悪徳業者と戦っている国民生活センターです。
悪徳業者がセールストークに太田成男氏の論文や研究結果を引き合いに出すものだから、その被害者からの苦情を聞いた国民生活センターが、水素水に注意喚起します。マスコミが批判的になるのは、この一連の流れがあるからなのです。
そこで、太田成男氏は自分のブログで「電解水素は僕の水素水じゃないからね」「プラズマ水素なんて知らないよ」などと頻繁に訂正しなければなりません。ちょっと気の毒ですね。
水素水と太田成男氏の関係まとめ
太田成男氏は、日本医科大学を定年退職した今でも精力的に活動しています。60歳をとうに超えても、果敢に研究と実験を続ける姿には、生粋の研究者魂が感じられます。水素研究が進化すれば、その分だけ悪徳業者が淘汰されますから、どうかこれからもお元気でいてほしいものです。